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2006.08.17

戦犯合祀を批判する人が抱える矛盾

 これからも毎年恒例となっていくであろう靖国問題。

 首相の靖国参拝を批判する人が論点とするのは、「戦犯合祀(今のトコA条項戦犯だけを問題視)」と「アジア諸国への配慮」の2点。
 ま、今のトコロ、中韓などの靖国参拝を批判している国は、「戦犯合祀」を問題として提起して"配慮が足りない!"とか言ってますよね。つまり、実質的には、この「戦犯合祀」のみが根本的な論点・争点なワケです。

 ですが、「戦犯」をことさら強調する靖国参拝批判論者は矛盾を抱えています。

 彼らは、全世界の戦没者追悼の営みを否定しかねない行為を行っている、とも言えるのです。

 靖国神社は、乱暴な言い方をさせて頂くならば、"全ての戦没者をまとめて放り込むための追悼施設"。
 たとえ"戦争を起こした極悪人"というのが存在しようとも、「死んだらまとめて供養しちゃる!」とゆー意気込みをカタチにしたのが、靖国神社だとも言えるワケですよ。

 それをことさら、戦没者一人一人を調べあげて、「この人はOK、この人はダメ…」だなんてやるのは無粋とかゆーより、もはやアレですよね。なんつーかもー…(^_^;)。

(靖国に祀られていない戦没者なども数多くいるにせよ、それは今回の問題というよりは、「今後の課題」なので割愛)

 ともかく、死者を値踏みする行為は、他国の戦没者追悼の営みにまでケチを付けていることと同じことです。
 どんな戦争であっても、侵略戦争なり略奪戦争なり懲罰戦争なり報復戦争なり自衛戦争なり、様々な見方ができるワケで、生前の行為を精査すれば批判のネタはいくらでも作り出すことは出来ます。

 そーいった批判をしないからこそ、"国による戦没者追悼"というイベントが成り立つのだとは思いませんか?

 靖国に限らず、世界中の戦没者のための慰霊施設などというのは、ある意味、まとめて死者を供養するのが目的。戦没者を個別に調べていけば、上述したように、いくらでも批判のネタは見つけ出せます。なんせ戦争に関わった人達なんですから。
 いちいち「今回の戦争はアレだったんで、この戦没者は追悼対象外にします」だとか、やってたら成り立たないワケですよ。

 一応書いておきますが、「死者を冒涜するなんてヒドい!」というウェットな意味で、戦没者を区別することを批判しているワケではありません。「戦没者を区別することは、戦没者全てを批判することになっちゃうかもよ」というドライな意味です。戦犯が批判される理由は、そのまま他の戦没者の方々にも当てはまることが多いでしょうからねぇ。

 戦犯のみに責任をかぶせてしまうと、他の戦没者を必要以上に敬うことにつながっちゃいますよ。他の戦没者だって、消極的・積極的、直接的・間接的の差こそあれ、戦争に加担した人達なんですから。

 戦犯を批判すること=戦争に反対すること、だと盲目的に信じている人はいねぇがぁ?

 どうでもいいけど、靖国参拝批判論者は、他の国に行って、戦犯とされた人々を批判して回ってみればいいと思う(だいたひかる風)。
 たとえばドイツに行って、「ヒトラーってまったくもってヒドいやつですよね。追悼なんてするべきじゃない」だなんて言えば、あちらで賞賛されますかね? フランスでならどうでしょう?

 東京裁判がどーのこーのという議論もありますが、たとえば、いま裁判にかけられているイラクのフセイン元大統領。彼が裁判の結果死刑になったとしたら、どー扱われるべきでしょうか? 今後、イラクでフセイン元大統領を追悼する人々が現れれば、「右傾化だ!」「歴史を忘れたのか!」「周辺国の心情に配慮しろ!」といったカンジで、イラクを批判すべきでしょうか?
 と~ぜん、日本のA級戦犯合祀を問題視してらっしゃる方々なら、国際法廷で裁かれた「戦犯」を信奉するイラクをつよ~い調子で批判するでしょうけどね~。もちろん、中国や韓国も、日本なんかよりずっと立派な公明正大な国ですから、右傾化する国が現れればキッチリ非難してくださるでしょう(^^)! すごいや☆

Sankei Web 政治 「戦争指導者の責任明確に」 河野衆院議長、追悼の辞(08/15 12:51)

河野洋平衆院議長は15日、全国戦没者追悼式の追悼の辞で、「新生日本の『目覚め』を信じ、犠牲を受け入れた若い有為な人材たちに思いを馳せるときに、戦争を主導した当時の指導者たちの責任をあいまいにしてはならない」と述べ、いわゆる「A級戦犯」など戦争指導者の責任を追及する姿勢を示した。

 戦犯とされた方々のご遺族も参列されている式で、よくもまぁこんなことが言えたもんだと、強い行き倒れ(by山形)を感じております。
 たいして信仰心みたいなモンは持ち合わせてませんが、彼が選挙で落ちることを祈願させて頂きます。

 A級戦犯も、その他の戦没者も同じ。靖国に祀られたおよそ250万柱のうちのヒトツに過ぎません。

「戦争指導者の責任を明確にすべき」だなどと言われると、「その通り。明確にすべきだ!」と即座に賛同する人もいるかもしれませんが、これはある意味、誘導尋問的なモノだと思ったり。

 そもそも戦争責任って、明確にできるモノなの?

 武器の製造を手伝っていた女学生、軍隊の食料を生産していた農家の人々、そして戦犯とされた方々…

 全部まとめて追悼させていただきます。

 ヨーロッパでは戦犯問題はきっちり清算されて云々と言う人もあるかもしれませんが、欧米でやってることだから盲目的に正しいと信じるワケにもいかないでしょ。

 世界地図を見れば、いまだに太平洋にイギリスやフランスの領土があったりするワケですよ。なんででしょうねぇ。
 都市伝説かもしれませんが、ヨーロッパではナチスのホロコーストを否定するような行為や研究は禁止されていて、逮捕されたりするそうです。素晴らしい!先進的な未来の人間社会の理想の姿だ!…などと思いますか?

新ゴーマニズム宣言SPECIAL靖國論
新ゴーマニズム宣言SPECIAL靖國論

北海道新聞|分祀でも靖国参拝容認せず 韓国政府が内部確認

【ソウル16日共同】韓国の聯合ニュースは16日、小泉純一郎首相ら日本の政治家の靖国神社参拝問題について、A級戦犯が分祀(ぶんし)されても参拝は容認できず、問題解決とはならないとの考えを韓国政府が内部で確認したと伝えた。

 ま、韓国は、こーゆー国ってこと。

 AだろうがBだろうがCだろうが、とにかく戦犯が祀られていたら×。

 仮にABC全ての戦犯を靖国から削除したとしても、その他の戦没者に対してもイチャモンがくるかもね~。


靖国神社行きたい。|worldwalker's weblog (・∀・)!

◎シンガポール リー元首相:「靖国問題も中国が心理的なプレッシャーをかけているだけ」
◎台湾、李登輝前総統:「国のために命を亡くした英霊をお参りするのは当たり前の事。外国が口を差し挟むべきことではない」
◎台湾、陳総統:「中国の反発に負けずに靖国参拝をする首相を評価」
◎カンボジア:フン・セン首相:「戦没者の霊を弔うことは当然のこと」小泉首相の靖国参拝に理解
◎インドネシア:ユドヨノ大統領:「国のために戦った兵士のためにお参り、当然」靖国参拝に理解
◎ベトナム:「我々は中国や韓国のような卑怯な外交手法をとるつもりはない」
◎オーストラリア・マレーシア・タイ・フィリピン:「私たちはまったく問題ではない。問題にするのは中国だけ」
◎パラオ、レメンゲサウ大統領:靖国参拝に「すべての人のために祈るのは正しいこと」と支持を表明
◎ソロモン諸島のケマケザ首相:「日本とソロモン諸島の共通の文化は先祖に感謝すること。英霊が祭られている場所を拝見したい」

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Tracked on 2006.09.04 08:49 AM

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