無防備都市宣言の嘘~無防備な都市こそが攻撃される~
「無防備都市宣言」で自分達の町を守れると思っている人たちは、ニュース映像などで配信される現代の戦争の光景を見たことがないんでしょうか。
戦争というものは、軍隊と軍隊、航空機や軍艦、戦車などだけが攻撃しあうワケじゃないのは分かりきっているハズです。
勇ましい時代劇なんかみたいに、開けた野原で、足軽とか馬に乗った武士だけが戦い合うようなモノではありません。
昔と違って、銃やロケット、弾道ミサイルなど、現代には様々な遠距離攻撃手段があります。
とわいえ、あちこちに分散し、所在をつかみきれない敵国の軍隊を攻撃するのは非効率的です。
となれば、どこを狙いましょうか?
逃げも隠れもしない(できない)攻撃目標が理想ですね。
それは何でしょうか?
都市です。
敵国の都市を攻撃しダメージを与えるというのは、非常に効率的です。
駅や公共施設、政府庁舎、道路や橋、ライフライン等々…これらを攻撃すれば、敵国に大きなダメージを与えることができます。
その都市の住民の住居などを破壊してしまった場合、「実質的な戦果」としては小さいかもしれません。
しかし、そういった場面の映像は、攻撃側の兵士や国民からしてみれば、「具体的な戦果」にみえることでしょう。たんなる建物のガレキよりは、家族や住居を失って泣いている敵国の人間を見たほうが、大きな戦果を得たような気になれるかもしれないですよね。
善良な心が少ない人や、敵国を憎んでいる兵士なら、泣いている敵国の民衆を見て「ざまぁみろ」と思い、戦意高揚につなげることでしょう。彼にとっての大戦果なワケですから。
しかし、逆に、「可哀想だ」と思った場合でも、戦意高揚につながることも多々あると思います。戦争を続けている敵国政府に対する憎しみを燃やすワケです。「俺達がもっともっと攻撃しないと、この戦争は終わらない」といったカンジ。早く戦争を終わらせるためにも、圧倒的な攻撃でもって相手を叩き潰さねば、というワケです。
憎しみだけが戦争の元なのではなく、相手に対する愛情さえも戦争継続の大きな原動力になりうるのです。
…
大規模軍隊同士の正面衝突なんて、現代の戦争ではそうそう起こっていません。
相手からの反撃が無いトコロ、そして、確実な戦果を得られる場所を互いに攻撃し合うのが戦争です。
イスラエルやレバノンで何千人の兵士が侵攻うんぬんとか報道されることもありますが、けっきょくはその大規模部隊は小競り合いをするだけ。
本当に甚大な被害、死傷者を生み出しているのはゲリラ活動やテロ、ミサイル攻撃など。もしくはアフリカで起こっているような民衆の虐殺。軍隊同士が正面からぶつかるよりも、よっぽど効率的だと感じられるのでしょう。
ベイルートなんかは確実に軍隊が駐屯しているから攻撃されている面もあるでしょうが、どちらにしろ同じこと。軍隊が駐屯している都市も、駐屯していない都市も、相手からみればたんなる攻撃目標です。てゆうか軍隊がいるかいないかなんて分からないし。
無防備宣言で攻撃を防げるかどうかなんて、ある意味ムダな議論。
全ての都市は、美味しい攻撃目標なのです。
無防備宣言してればなおヨシ。多少でも反撃を受ければ…いや、反撃されなくとも「反撃された」と言えばいいだけのハナシ。相手を非難する口実になります。
まことにもって、美味し~い攻撃目標ですネ。
参考:
辻元ブログ: 辻元が高槻「無防備地域宣言」に参加する理由その1
無防備地域宣言運動への反論
大盛町長の意見書に反論/無防備地域宣言 【八重山毎日オンライン】
追記:
戦争のあり方も色々あるワケで。武装した不審船が日本近海で日本漁船を攻撃。某国の工作員が日本に潜入して日本人を拉致。某国が軍事力を背景に日本企業の財産を奪取等々。想定できるシチュエーションは色々ありそげ。
"ミサイルを使われてないから問題ナシ"
(もし使われても一発だけなら「誤射」の範囲)。
ってなワケにはいきませんよね。
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Comments
この無防備都市宣言てやつ。
正気の沙汰とは思えんです。
やりたい放題やられるだけだってのに・・・
Posted by: かっぱやろう | 2006.08.05 12:40 AM
かっぱやろう様、コメントありがとうございます。
こーゆー運動で厄介なのは、かつてのオウム真理教みたいなもので、周りから否定されればされるほど、自分たちの正しさが証明されたように勘違いしかねないことですよね。
意味の無い運動で無益な時間や税金を浪費させられ、妙な危機感をあおられてはたまらないといったカンジでふ。
Posted by: KEI | 2006.08.06 11:18 PM
辻元ブログのyukiroです。
トラバックありがとうございます。
具体的な指摘ですね。わかりやすくて、この方がどれだけ危険な宣言なのか伝わりやすいと思いました。
いろんな観点から指摘することって大事だなぁ。また、きま~す。
Posted by: yukiro | 2006.08.17 02:27 AM
yukiroさん、こんにちは。
コメントありがとうございます。
こんな宣言に、ノっちゃうヒトが意外と多いようなので、ちょっと怖いカンジがしますよねぇ(^^;)。
辻元サンの動向には注目したいと思ってますので、サイト運営応援させていただきます!
Posted by: KEI | 2006.08.18 05:59 PM