映画「めぐみ-引き裂かれた家族の30年-」 これからを見据すえて…
映画「めぐみ」を見てきました~。原題は"Abduction The Megumi Yokota Story"。
新しく撮られた映像とイメージ映像、それに日本の報道番組の映像などを切り貼りして作られた作品。個人的にはもうちょっと簡素なツクリのほうが良かったんぢゃないかとか思ったりもしました。BGMに尺八とか入ってたりするのでベタだったり。マイケル・ムーアとかみたいに、監督の色というのがぶわっと表に出てる作品ではないんですけどね。
高レベルのドキュメンタリーであることは間違いないので賞賛したいのと同時に、この作品を作ったのが日本人でないことが、何となく後ろめたい気も。まぁ、実際のトコロをいえば、外国人が作ってくれて、さらに日本の外で上映してくれたことには感謝の意を表します。
にしても、この作品を見終わってあらためて思ったのは、「ずいぶん時間がたってしまったんだな」ということと、「みんな年をとったなぁ」ということです。
拉致問題が急激に動き出したのもそうである。国内に潜伏する工作員に関するかなり有力な情報も、拉致関係者に関する情報も、その最盛期には「政治の世界から圧力」がかかって「ボツ」になって来た。当時、工作員の筆頭だったシンガンスが逮捕されたとき、彼の「釈放」に尽力した政治家たちの一部は、まだ政界で活躍しているようだが、「実力者」は一応引退したから、そのくびきから解放された警察は、ようやく本来の仕事を開始したのであろう。今後に大いに期待したいものである
映画の中で、被害者家族から名指しで批判の声をあびていた野中広務ワロス。
もののたとえとかでなく、本当に"一日でも早く"拉致をあばく行動が起こされていれば…そう思わずにはいられません。
それと、横田夫妻も確実に年をとっていくことが心配でなりません。
拉致被害者のシンボルとなっためぐみさんと、横田夫妻。
映画「めぐみ」の中では、拉致から2年後の夫妻のテレビ出演時の映像とか出てきます。その当時と今をくらべて、ハッキリと年をとった滋さんと早紀江さん。しかし、滋さんの実直な態度も、早紀江さんのまっすぐな眼差しも、少しも力を失わずにいてくれています。
とはいえ、特に…というと語弊があるのですが(^^;)、早紀江さんがになっている役割のことが気になります。
なんというか、うまいたとえが思い浮かばないのですが…拉致被害者を救うために色々な人が行っている活動を絵の具や筆、描き手にたとえるなら、早紀江さんは白いキャンバス。もしくは、そのキャンバスに描かれた絵を浮かび上がらせる"光"。僕にはそう思われます。
拉致問題は、拉致被害者とその家族だけの問題ぢゃありません。僕たち日本人みんなの問題です。
横田夫妻が存命中に拉致問題が解決しないかもしれない…そんなことを言うと不謹慎だ!と言われるかもしれませんが、それも可能性のヒトツとして考えなければならないことです。
たとえ拉致被害者の家族が全ていなくなろうとも、拉致問題は解決しません。
"めぐみさん"を取り戻すまで、拉致被害の全容を明らかにするまで、僕らが"光"を発し続けなければならないのです。"めぐみさん"は、僕らの「家族」なんですから。
この映画の中で、録音されていた合唱のテープが流されます。効果的に挿入されていたこともあり、強く心をゆさぶられました。
シューマン作曲「流浪の民」。めぐみさんの独唱パートも流れます。
慣れし故郷を放たれて、夢に楽土求めたり
めぐみさんの、そして家族の"流浪"に、一分でも一秒でも早く終わりが訪れますように。…いや、訪れさせねばっ。
本作品の主旨とは違うため触れられてはいませんが、めぐみさんたち家族は一時期広島にもおられたようです。パンフレットには、広島市安佐動物公園や縮景園、音戸を訪れた時の写真が掲載されています。
僕がめぐみさん拉致のことを初めて知ったとき、ほとんど縁の無い新潟での事件ですから、正直、あまり身近に感じることはできませんでした。
でも、めぐみさんが広島で、僕も行ったこともある同じ場所の土を踏んだことがあるということを知ってからは、違う感情を抱くようになりました。よりリアルな、実在の人物としての"めぐみさん"を感じることができるようになったといふかなんといふか。
今までここにいた家族がいなくなる。
こんな悲しいことはありません。
日本人以上に大量の家族を北朝鮮に拉致された韓国人たちが行動を起こせば、もっと事態は動いていくだろうにとか思うんですけどねぇ~。
ともかく、この作品は必見です。ぜひ映画館で見てください。
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Comments
投稿です
僕は来年見ます。泣く事必至でしょう。
ところで
12/16に渋谷で拉致被害者のための
「日米合同集会」があるとか
横田夫妻も参加されます
是非見に行ってみてください
Posted by: sunrisepa | 2006.12.01 04:24 AM
sunrisepa様、コメントありがとうございます。
映画もぜひぜひ。ビデオになってからも、多くの人に見てもらいたい作品です。
集会には参加できませんが、多くの人が集まることを願っています。
Posted by: KEI | 2006.12.03 10:16 PM