あおり運転で事故。2人死傷
(cache) 栃木 : 地域 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
大田原の2人死傷事故 あおり行為原因か
運転の男再逮捕へ、危険運転適用も視野
大田原市の国道4号で1月、軽乗用車がガードレールに衝突し、同乗者2人が死傷した事故が、後方の乗用車にあおられるなどして起きた疑いが強まり、県警は近く、現場付近に乗り捨てられた別の乗用車を運転していた矢板市富田、無職戸田固士被告(24)(無免許運転で逮捕、起訴済み)を業務上過失致死傷と道交法違反(救護措置義務)の疑いで再逮捕する方針を固めた。県警は危険運転致死傷罪の立件も視野に入れ、調べを進めている。
事故は、1月21日午前2時45分ごろ、大田原市下石上の国道4号で発生。那須塩原市下厚崎、パチンコ店員田中千春さん(25)の軽乗用車が、対向車線を越えてガードレールに衝突し、助手席のパート従業員坂本睦月さん(18)が死亡、後部座席にいた坂本さんの父親の正さん(42)も重傷を負った。
戸田被告の同乗者や田中さんの証言などから、戸田被告が前方の軽乗用車を執拗(しつよう)にあおったり、幅寄せしたりしながら約2・5キロ・メートルにわたって走行した状況が判明した。車の破損状態などから、戸田被告の車は、時速100キロ(法定速度60キロ)前後の猛スピードを出していた疑いも浮上している。
県警は、戸田被告の車が後方からあおったりしたことで、田中さんがハンドル操作を誤り、事故が発生したとみている。戸田被告のあおり行為など一連の悪質な運転が、危険運転致死傷罪にあたるかどうか、慎重に調べる方針だ。
■「絶対に許せない」娘亡くした父、怒りあらわに■
「無免許であれだけのことをして。娘と同じ目に遭わせてやりたい」。最愛の娘を亡くし、自らも左足などに全治3か月の重傷を負った坂本正さんは、入院先のベッドで怒りをあらわにした。
坂本さんによると、21日未明、自宅に向かって国道4号を北上中、戸田固士被告の乗用車が強引に追い越してきた。運転免許を取得して半年で、若葉マークを付けて運転していた田中千春さんは「危ない」と驚いた様子でクラクションを鳴らした。
そのクラクションが気に障ったのか、戸田被告の車は後ろに回り込み、今度はあおり行為を始める。先に行かせようと車を止めても、戸田被告の車も後ろに止まり、動き出そうとしない。坂本さんは窓を開けて「危ないよ」と言ったが反応がない。逃げようと速度を上げると、戸田被告は猛スピードで迫って来て、すれすれまで接近。前照灯をハイビームにしてパチパチ光らせ、クラクションを鳴らし続ける。
坂本さんが「狂っている」と恐怖を感じたとき、「ガガガ」と車が揺れる。対向車線を飛び越え、ガードレールに激突。横転してひっくり返った車内で、坂本さんは救急車到着までの間、睦月さんに何度も呼び掛けたが、返事はなかった。
病院を訪れた警察官から戸田被告が「車にぶつかってもいないし、あおってもいない」と話していると聞き、怒りに震えた。「絶対に許せない。娘は18歳になったばかりで運転免許を取りたいと言っていたのに……」。睦月さんを思い出し、坂本さんは言葉を詰まらせていた。
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僕が堺に住んでいた頃、1年か2年に1回くらいの割合で、"クラクションを鳴らされてて腹を立てた男が信号で止まった時などに相手をナイフで刺し殺す"という事件が大阪の街中で起きていたような気がします。まったくのウロ覚えなので事実と異なっていたら大阪の人には申し訳ないですが、僕の中では、大阪の街中でクラクションを鳴らすということは、そういった意味合いを持つ行為になっちゃってます。
それはともかく、上に引用した事故…というか、事件? まぁ、ヒドいものです。
ただ、この事件を、無免許運転であおり行為をしたキチガイの「心の闇」みたいな特殊性が起こしたものとして片付けてしまうことには反対です。
この手の事件は、世間のごく一般的な人々のモラルハザード(死語?)の延長上で起こるべくして起こったモノだと思うのです。
あなたの周りに、多少なりとも車好きな人がいれば、その人の言動を思い起こしてみてください。
「法定速度守ってたら車の流れ乱すんだよ」
「法定速度守ってたら余計危ないんだよ」
「いちいちウインカー出さなくていいよ」
「一時停止場所でホントに止まるヤツっているよな」
「まだライト点けなくていいって」
「前の車、今のタイミングで右折できただろ、バカ」
「黄色なのになんで止まるんだよ」
「いちいち切り返すなよ、ヘタクソ」
また、身近な人の言動を思い起こすまでもなく、普段の生活においても、モラルハザードを実感させられる場面は多いです。
たいがいどの道路においても法定速度通りに走れば後続車に追いつかれることはほぼ確実ですし、"抜きたい意志を示すため"に前の車にピッタリくっついて走るゲスさえもそこらじゅうに普通に存在します。
上の記事の無職戸田固士被告(24)(無免許運転で逮捕、起訴済み)も、おそらくは、その手の人間だっただろうと思います。運転に自信があり、車線変更を頻繁に繰り返して多く車を追い抜くことを楽しんでいたことでしょう。時速50km制限の道路なら、70kmぐらい出して当たり前と思っていたことでしょう。勝手な想像ではありますが、そう間違った想像だとは思っていません。
そんな彼が、クラクションを鳴らされた。しかも初心者マークをつけた車に。彼は、あおり運転をする必然性さえ感じたかもしれません。
昨今、マスコミで興味本位に騒がれがちな飲酒運転や、今回のような事件。車での事故に限らず、その他ありとあらゆる事件・事故等々…特殊な大バカどもが起こすことだから、自分には関係ない。ごく一部のバカだけが起こす事件だ、と片付けてしまうのは簡単です。
上に書いたことの繰り返しになりますが、僕は、こういったとんでもなく悪質な事件も、我々の普段の生活、モラルのレベルの延長上で起こっているのだと感じます。
たとえば、上にも書きましたが、"抜きたい意志を示すために前の車にピッタリくっついて走る"という行為を、"お礼の意味でハザードを点灯する"みたいな行為と同列の、いわばマナー・常識的行動として常日頃実行している人も多いことでしょう。その延長線上に、間違いなく"あおり運転"は存在しています。
法定速度を守った運転をするよう心がける。
他の人が運転する車に乗った時も、法定速度を守らせるよう心がける。
多くの人がそういった心がけをするだけで、今回の事件のような"あおり運転"がのさばる余地は減っていくことでしょう。
追記:
運転免許をとって間もない頃、後ろに車がピッタリくっついてきたら、何とかしようと焦って速度を上げていたことを思い出します。今は、道路わきのスペースを利用したり、見通しのいい直線などで後ろの車を落ち着いてパスさせることが出来るようになりましたが。
とはいえ、以前の"焦る気持ち"を思い出すと、やりきれない気持ちになります。あの頃の俺だったら、今の状況、どう対処したのだろう…とか。
僕は通勤に車を使っているワケでもないので、年間走行距離はかなり短いと思います。それでも、今年に入ってから色々とモラルの低い車を見ました。
たとえば、タクシー。
細い道路と国道との信号のある交差点。細い道路のほうには、右折レーンと直進・左折レーンがあります。僕の車はその右折レーンを通って、国道に入ろうとしたのですが、信号が黄色から赤に変わったので停車しました。すると、僕の後ろを走っていた「協」マークのタクシーが左折レーンにスッと出て、僕の車の左側を通過して右折していきました。
同じく「協」マークのタクシーの件。どちらが主要道路ということもなく、それぞれ片側一車線で右折レーンも無い道路の交差点での出来事。僕が走っている道路の側は混雑していて信号が変わっても1、2台しか進めないような状況ですが、交差する道路のほうはそれほど混雑していません。僕が赤信号で止まった時、僕の2、3台後ろを走っていたタクシーが、対向車線に飛び出し、僕の車の右側を通過し、交差点を左折していきました。
こういった行為をするドライバーには、悪いことをしているという意識はなく、むしろ、交通の流れをスムーズにして良い行為をしているという意識のほうが強いのでしょう。もしくは、タクシーの例でいえば、「仕事なんだからシロウトは文句言うな」みたいな意識があったりとか。
ともかく、"抜きたい意志を示すために前の車にピッタリくっついて走る"ことをフツーのマナーと思っている人や、"車の流れを乱すと危ないだろ"と法定速度を超えることを正当化するような人は、そこらへんにゴロゴロいます。あなたの周囲にもいくらでもいるでしょう。
法定速度で走ると危ないのでしょうか? 時速50km制限の道を50kmで走っていた車に、時速70kmの車が追突する事故が起きたとしましょうか。50kmで走っていた車が確認不十分なまま急な車線変更をした場合などを除き、どちらが事故の主因であるか、論を待たないハズです。
2007/9/21追記:
戸田固士被告の判決が出てますね。
池本寿美子裁判長は「被害者側に責任を転嫁する不合理な弁解に終始しており反省は認められない。証拠隠滅を謀るなど犯行後の情状も悪い」などと、懲役九年(求刑懲役十年)を言い渡した。(中略)
池本裁判長は判決で「被告人が(軽乗用車の)通行を妨害する目的であおり行為に及んだ」と認定。「被害者が極端な高速度で運転したのはあおり行為に恐怖を感じて逃れるためで、あおり行為と事故との間に因果関係があることは明らか」と指摘した。
あおり運転で事故を誘発させると、危険運転致死傷罪などに問われることもある、と。
あおり運転常習者の方はお気をつけ下さい。
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Comments
とても考えさせられるエントリーでした。
お蔭様で自分の中のモラルハザードの芽に目を向けることが出来ました。
結果として悪に至った人のことを
同じ芽を持っている自分が嫌悪感を持ってさげすむのではなく、
自分自身の中にある芽を抜いてしまうことに
意識を向けることが大切だと思いました。
毎日のように流れるTVのニュースも、
こういう視点で解説してくれたら、
もっと省みる世の中になるのではないかな?と感じました。
ありがとうございます。
Posted by: KaZ | 2007.09.18 07:48 PM
KaZ様、コメントありがとうございます。
一見とーとつな超凶悪犯罪なんかも、普段の我々の生活と間接的・直接的につながっている部分があると思います。
世の中を良くする、などとゆーと肩に力が入っちゃいますが、とりあえず、車に乗るときは、余裕のある運転をするよう心がけております。
なかなか難しいですけど(^^;)。
Posted by: KEI | 2007.09.21 04:38 PM