「カワムツの夏」片野修
「カワムツ」という魚がおります。どこにでもいる魚ですが、誰からも見向きもされない魚でもあります。
しかし、その魚を研究した本を見て、ちと感動。魚にも、それを書いた人に対しても。
カワムツの夏
著者:片野修
出版社:京都大学学術出版会
「雑草という名の草は無い」とは、昭和天皇のお言葉とされているものですが、非常に深みのあるフレーズです。個人的にも大好き。
それと同様に、「雑魚という名の魚はいない」と言いたいところですが…
オイカワやカワムツの属名"Zacco "は日本語の「雑魚」(ザコ)に由来する。
Zacco temminckii
ちょw 学名がザコwww しかも、語源も雑魚に由来www
ま、まあ、それだけありふれた親しみ深い魚だということですネ\(;゚∇゚)/
ともかく、片野修氏は、このカワムツに着目して観察・研究をされました。
この本が出版された1999年当時は、まだ「カワムツA型」(=現ヌマムツ)と「カワムツB型」(=現カワムツ)が両方とも「カワムツ」として扱われていました(両者が正式に別種として分けられたのは2003年)。片野氏はご自分が観察したものは、「カワムツB型」(=現カワムツ)だったことをきっちり調べておられます。
猿やらライオンやらに一匹一匹に名前をつけて個体識別をして生態調査をするのは本やテレビで見ることがありますが、カワムツのような「雑魚」に対しても行っていることには、正直驚きを隠せません。
この丹念な観察には素直に尊敬の念をささげたいと思います。
ちなみに、このエントリに掲載している写真がカワムツかどうか、僕は識別していません(爆)。
パッと見のカンジでいけば…
・目が大きくずんぐりしているのがカワムツ
・鱗が細かいのがヌマムツ
といったあたり? やっぱよく分かりません。
胸ビレと腹ビレの前縁が赤ければヌマムツ、というのもある程度は目安になるとか?
確実なのは、鱗の数を数えることと、臀ビレの分岐軟条数を数えることだそうです。
鱗のほうは側線上方でもちとメンドいので、釣ったらなるべく臀鰭分岐軟条数が分かるように写真を撮っておこうと思います。…実際に同定するかどうかは別のおハナシ(爆)。
旅好写真~りょこうしゃしん~: アストラムライン沿いにカワムツ釣り歩き(広島市安佐南区)
そんなかわいいカワムツくんを釣り歩き
ルアーで釣れてくれるなんて知りませんでしたよ。僕が小学生のころは「よっちゃんイカ」(現カットよっちゃん)で釣ったものですがw
エントリのシメに、本に掲載されていた片野氏の言葉を引用させて頂いときます。
どこの川にもいて誰でもよく知っている雑魚たちもまた、私たちにとって大きな意味をもち、独自の世界を築いているのだということを私は強く主張したい。
深い、深いよママン。
希少種の研究やら実利に結びつく研究も当然重要ではありますが、「雑魚」に注がれたこの熱意・愛情に全俺が号泣しまんた(;ω;)
島根県 : Web竹島問題研究所 かえれ島と海
竹島の自然は日本人の財産
(画像作成名塚氏)
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 新型Kindle Oasis登場!(2017.10.12)
- iPad雑感(2010.07.28)
- Kindle for Mac キタ━(゚∀゚)━!!!(2010.03.18)
- "Web本棚"ブクログに登録+iPhoneアプリで神仕様?(2010.03.16)
- Kindle with Unlimited Blade Works "Project Gutenberg"(2010.03.03)
The comments to this entry are closed.
Comments