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January 2018の1件の記事

2018.01.31

2018年1月 信越本線立ち往生事件まとめ

JR東日本らの対応に改善の余地ありだったという方向性でのまとめです。

あの雪の中では乗客の避難は難しかったから…という方向でのJR東日本擁護が目立ちますが、事故後の対応についても疑問点はありますし、立ち往生する前に止めるという選択肢もあったはずです。かつての「風の息づかいを感じていれば」とは違います。風の息づかいを感じるなんて無理だから止められない…ではなく、"感じるのが無理だからこそ止める"という判断もありえたはずです。予測できない瞬間的な突風と違い、多くの列車が雪のため運休したり遅れたりしていた中、なぜJR東日本は運行を続けたのか。そこは検証すべきです。


以下、情報の後ろのカッコ内は情報ソースの番号。本文下の参考記事の番号を示しています。

駅等の位置関係

新潟駅ーー保内駅(無人)-東三条駅(有人)-三条駅(有人)-東光寺駅(無人)-帯織駅(無人)-見附駅(有人)ーー長岡駅

下記の時系列の前に個人的にポイントと思われることを書いておきます。
まず、新潟駅を発車して東三条駅に着く前に一度立ち往生していること、東三条駅に着いた時点で地元の通勤客がこれで走れるのかと疑問に思うほど雪を抱えていたこと。この2点が重要かと思います。新潟駅を定刻より78分遅れて出発したのは兎も角、東三条駅を出発したのは定刻より160分遅れています。つまり、東三条駅の時点で運行を見合わせると判断しても致し方ない条件は揃っていたのではないでしょうか。これらが駅間での立ち往生前の重要点。
立ち往生した後についても、自治体からのバス提供を断っていたこと、地域住民からの避難所提供を断っていたこと、車で迎えに来た家族らが多かったことを乗客に知らせなかったことなどは、対応としては不適当だったポイントではないでしょうか。また、飲料水や食料を配布するのも遅過ぎたと思います。


時系列

20181月11日
13:00過ぎ 気象台が大雪警報発令。JR東日本新潟支社は通常の夜間の除雪で対処できると思い昼間は除雪しないと決定(※11)
16:25 新潟発長岡行の普通電車(4両編成。列車番号444M)が定刻15:07の78分遅れで発車(※2)
17:00頃 一本前の列車(列車番号442M?)が東光寺駅-帯織駅間を通過(※3)
17:10 三条市が雪害に係る非常配備基準超過を確認。第1次配備(警戒体制)(※15)(※16)
17:46 保内駅手前でパンタグラフに雪が積もり電気が流れず停車(※10)
18:14 保内駅手前での停車から復旧し発車(※10)
18:30より前 東三条駅に到着するも「こんなに雪抱えてても今の電車って走れるんだ」と地元の通勤客が驚くほどの状態(※13)
18:30過ぎ 定刻15:54の約160分遅れで東三条駅を発車(※13)
18:30前後? 東三条駅を出てから積雪で何度も停車し、その度に乗務員が雪かきをして前進というのを繰り返す(※10)
19:00前 東光寺駅を発車(※3)
18:56 東光寺駅を300m過ぎた地点で1度目の立ち往生(※2)
19:00頃? 最初の車内アナウンス。運転手が除雪するので10分くらいお待ちくださいという内容(※13)
20:00前? JR東日本新潟支社は人力での除雪を決定し付近の社員を向かわせる(※3)
20:10頃? JR東が呼んだ職員2名ほどが新たに除雪作業に加わる(※13)
20:10頃 保線作業員が現場到着。人力で除雪作業開始(※2)
20:16 三条市が非常配備基準超過に対応するための第2次配備(特別警戒本部設置)(※15)(※16)
20:46頃 列車指令より運転再開指示。運転再開(※2)
20:55 三条市が特別警戒本部会議を開き大雪に関する特別警戒宣言発令。担当課職員が泊まりで情報収集などの対応にあたる(※15)(※16)
21:11 2度目の立ち往生。東光寺駅から1100mほどの地点(※2)
22:00過ぎ 除雪車(ラッセル車)投入決定(※2)
23:15 40代男性が体調不良の訴え(※2)

1月12日
0:00頃 除雪車を手配したとの車内アナウンス。長岡を01:00頃に出発するが到着に1時間以上かかるとの内容(※13)
01:00過ぎ? 車掌が段ボールを配り始めて床に敷いて座ることができるようになった(※13)
01:37 除雪車が車両センター出発(※2)
02:22 見附駅に乾パンと栄養補助食品が届けられる(※2)
02:30頃 ふらつきや吐き気を覚えた高校3年の女子生徒が、救急隊員に背負われ搬送。近くの踏切まで迎えに来ていた家族に引き渡し(※12)
02:30頃 新潟県危機管理課からJR東日本新潟支社へ三条市からのマイクロバス手配の申し出伝達(※4)
02:30頃? 三条市はJR東日本新潟支社へ避難所開設も打診(※8)
02:30頃 JR東日本新潟支社は三条市からの申し出を「全員が乗れない」「車内の方が安全」として断る(※4)(※8)
02:43 列車の乗客にペットボトルの飲料水配布(※3)
04:00頃 除雪車が押切駅を通過したとの車内アナウンスが流れ車内がどよめく(※13)
04:30過ぎ 家族が迎えに来るなどした乗客が降車(※2)
05:00頃 携帯非常食?などが届けられる(※2)
09:30頃 除雪車が上り線から逆方向に進みながら現場付近を除雪(※3)
10:26 運転再開(※2)
夜 JR東日本新潟支社の担当者が記者会見。「当初はスコップで対応できると思った」「対応十分でなかった」「遅れが出ても走らせたいとの思いもあった」と弁明(※9)(※10)
11:52 三条市が特別警戒宣言解除(※16)


1月16日
米山新潟県知事がツイッターでJR東の対応に理解を示す(遭難、将棋倒しの可能性の指摘)(※6)

1月17日
JR東日本新潟支社は三条市からのバス提供の申し出を断ったことについてについて「あくまで情報提供というレベルの話だと思った」「あえて断ったという認識はない」と報告。地域住民から集会所を避難所として提供するという話もあったが「積雪が60センチ以上の田んぼに400人以上の乗客を降ろして誘導するのは危険だと判断」して断ったことも報告(※8)

1月19日
JR東日本新潟今井支社長は記者会見を開き、判断が誤っていたことや再発防止策などについて報告(※5)
石井国土交通相は「自衛隊の災害派遣も念頭に、自治体に支援を要請するなどの再発防止策を取るよう」JR東に指導したと発表(※7)

報道・情報まとめ
・ダイヤが乱れ立ち往生した列車(列車番号444M)に乗客が集中していた(※3)
・430人の乗客のうち席に座れていなかったのは210人(※3)
・40代男性一人が体調不良で救急搬送(※1)
・10〜20代女性四人が「気分が悪い」などの体調不良(※1)
・車内は暖房が効いていた
・車内トイレのトイレットペーパーは食料と一緒に補充された
・信越線羽生田駅で後続の上り特急電車と普通電車が停止し乗客はバスで代替輸送(※1)
・信越線東三条駅と見附駅で後続列車が乗客を乗せたまま停止(※1)
・1月12日09:00頃までに家族が迎えに来るなどした乗客230人が降車(※2)
・除雪車は新潟(モーターカータイプ)と長岡(ディーゼル機関車タイプ)の車両センターにあった(※2)
・除雪車は長岡のディーゼル機関車タイプが出発した(※2)
・渡り線の無い見附駅に停車列車があり除雪車の通行の支障になっていた(※2)
・道が狭いことを理由にJR東日本は、バスによる代替輸送を断念(※4)
・救急隊から自治体が用意するバスなどを利用する提案があったがJR東は断っていた(※8)
・現場付近の地域住民から集会所を避難所として提供する申し出があったがJR東は断っていた(※8)
・1月11日は信越線で特急列車も含めて上下計三十本が運休(※10)
・1月11日は三条市では夕方から夜にかけて1時間8~9cmの雪が積もり、積雪は最大約80cmに達した(※10)
・三条市消防本部の積雪計によると、降り始めからの24時間で32cmの積雪だったが、1月11日11:00からの8時間で44cm積もった。19:00時点の積雪77cm(※11)
・現場付近は平野部で電車が立ち往生するほどの積雪は珍しい(※10)
・現場付近を上越新幹線が走っているが融雪のためのスプリンクラーがあり1月11日も平常運行(※10)
・帯織駅では迎えに来た家族らの車30台が列をなしていたがJR東からは説明はほとんど無かった(※12)
・1月11日の14:00から2時間ほど東光寺駅近くで除雪していた男性は「湿った重たい雪が積もって除雪が大変でした」とNHK記者に語った(※12)
・1月12日の02:30頃に救急隊に救助された高校三年生の女子生徒は「車掌さんたちはすごく疲れている中でもとても頑張ってくれました」と語った(※12)
・車掌は車内アナウンスのたびにおわびの言葉を入れていた。途中で今にも泣きそうな声になっていた(※13)
・手配された非常食のひとつは「カロリーメイト ロングライフ チョコレート味」2本入りで計200kcal(※13)
・車内の床は雪などのせいでびしょ濡れでとても座れる状況ではなかった(※13)
・トイレは1号車に一箇所。30〜1時間待ち。途中で詰まり流れなくなった(※13)
・スマホがバッテリー切れになる人が多くいた(※13)
・列車の周りには報道陣などがたくさんいた(※13)
・迎えに来た家族がいることが車内アナウンスなどで乗客に伝えられていなかった(※14)
・三条市が11日20:55に発令した特別警戒宣言は大雪害災害マニュアル策定後の初めての発令(※17)
・三条市は2016年1月の集中豪雪で起こった高速道路通行止めや一般道大渋滞教訓に大雪害災害マニュアルを策定していた(※17)
・三条市の「除雪計画路線図」では「第1種除雪路線」に定められた道路は「午前7時まで」に除雪を完了することを目安に除雪を実施しており、東光寺駅までの道路もこの路線に含まれている(※22)

関連情報等
・雪害対策を進めた秋田新幹線ルートでは雪害による運休本数は2012年度63件、2013年度11件、2014年度3件と大幅に減らしている(新幹線ルートということで純然たる在来線より対策が手厚い?)(※18)


専門家等の意見
・曽根悟(工学院大特任教授)「電車を後進させて主要駅まで引き返すべきだった」(※3)
・杉山淳一(ライター)「(一本前の列車の通過後)約2時間で予想もつかないほどの積雪が発生」(※2)
・川辺謙一(交通技術ライター)「高い乗車率の電車が止まったらどうなるのかを考え、運行を見合わせるべきだった」(※10)
・国土交通省職員「JRは雪が激しく降ることは分かっていたはず。早めに止めることもあり得たのでは」(※10)


JR東日本のコメント
・今井政人JR東日本新潟支社長は「乗客全員の救済にこだわっていた。判断は誤りだった」と記者会見で述べた(※4)
・今井政人JR東日本新潟支社長は「バスでは乗客全員を一度に救助することは困難だと考えた」と記者会見で述べた(※5)
・今井政人JR東日本新潟支社長は「大きなバスでの全員救済にこだわり、結果的に誤りだった。自前でやろうとしすぎた」と記者会見で述べた(※14)

事故後に策定された対策
・JR東日本は10項目の対策を策定
・タクシーなどの活用
・見附-羽生田駅間を中心に月内に監視カメラ5台増設
・自治体や警察との連携
・警察や消防、自治体などに支援を速やかに求める(※19)
・一時避難所の確保
・最寄り駅まで後退できるよう運用規則を改定することを含めた検討
・避難可能な乗客から順次救出(※19)

個人的感想

・18:56に東光寺駅を300m過ぎた地点で1度目の立ち往生(※2)とされていますが、実際は17:46に保内駅手前でパンタグラフに雪が積もり電気が流れず停車し、再度発車するまで約30分間立ち往生しています(※10)。また、東三条駅を出てからも積雪で何度も停車し、その度に乗務員が雪かきをして前進というのを繰り返しています(※10)。18:14に保内駅手前を発車した後、東光寺駅を300m過ぎた地点で本格的(?)立ち往生をしたのが19:00頃。約9kmを走るのに45分間かかっています。平常時なら約10分で通過する区間です。東三条駅と三条駅は有人駅で、東光寺駅は無人駅。もっと手前で運行中止を判断することもできたはずですし、少なくとも東三条駅か三条駅で停車するべきだったでしょう。もしくは東光寺駅に向かう前に引き返す手もあったはずです。

・踏切を過ぎると後退するための手続きが煩雑だったという話もあるようですが、要するに、立ち往生しても乗務員に雪かきをさせて復旧させて、まだまだ列車を走らせるつもりだったということ。

・積雪を監視するカメラを増設するとJR東日本は発表しています。つまり、当時、現場の積雪の様子を確認する手段は「乗務員の目」が大きなウェートを占めていたということでもあり、たびたび停車しながらも列車が運行を続けたのは「運転手の判断」が大きなウェートを占めていたと考えられます。この時に心配されるのが、「遅れが出ても走らせたいとの思いもあった」というJR東日本新潟支社の担当者の言葉が示唆する乗務員への「圧力」の可能性です(※10)。この思いは運転手にも共有されていたでしょう。つまり、運転手が自ら運転中止を言い出せない「圧力」となっていた可能性があるわけです。

・JR東日本の対応を擁護する声も大きいようですが、だいたいは立ち往生後の話のようです。立ち往生した列車を動かそうと一人で雪かきをする乗務員、みたいな話。それで動くケースが多いのなら正当な対応だとは思いますが、立ち往生してしまったのを雪かきでなんとかした実績が無いとかいうのならどうかというところです。まあ、雪かきのため(?)のスコップはあったようなので、乗務員一人の雪かきでなんとか対応してきた実績があるのだろう、という話にはなりそうではありますが。それはともかく、立ち往生した後にもっと別の対応ができた可能性というのは、JR東日本も認めて謝罪していますし、国土交通省などからもその方向で指導も入っています。結果論にせよ、結果を見てよりより対応を検討することは必要なはずです。また、立ち往生させないという選択肢があったことも事実ですので、これについても検討が必要なはずです。冒頭にも書いたように、風の息づかいを第六感で感じて列車を止めるなどというのが人間には無理だとしても、それは立ち往生という結果を正当化するわけではありません。"わからないから"こそ止めるということを適切に実行できなければ、大量輸送手段を運用する事業者としては不手際があったと断じられても仕方がありません。この程度の雪で止めていたら新潟県では冬期は列車を運行できない、みたいな状況が仮にあるというのなら仕方ないのかなと思う面もなくはないですが、それはそれで問題です。今回みたいなことがまた起こるかもしれないけど、これまでと同じようになんの対策もせず運用していく、みたいなことが許されるはずもないわけですから(すでに書いたように国土交通省が指導し、JR東日本も防止策を提出している)。

・死者が出なかったのだからJR東の対応は正しかった、というのは一面では正しいでしょう。しかし、15時間の閉じ込めであったにも関わらず体調不良者が少なくてすんだのは、通勤・通学客などで平均年齢が比較的若かったおかげなどもあったのかもしれませんし、ともかく不幸中の幸いでしかありません。また、15時間の閉じ込めの後で死者が無かったという実際の結果以外にも、東三条駅や東三条駅で乗客を降ろし、順次バスやタクシーで移動してもらうという結果もありえたはずです。その場合、乗客は閉じ込められることなく(東三条駅に着くまでにすでに立ち往生をしていましたが)、代替え輸送で当日中に目的地に行けた、という結果になったわけです。もちろん、全員無事に。結果論でしかないにせよ、途中で運行を停止するという判断がありえる状況であったのも事実。結果論という話で言えば、翌朝にまた吹雪が強くなれば、除雪車が出ても乗客を降ろせないという状況もありえたわけで。トイレが詰まって流れなくなっていた(※13)という状況もありますし、「この積雪状況で乗客は下ろせない」という判断は、どちらにせよ"どこかで区切りをつける必要があった"コトも事実。

・東京都などで大量の積雪が予測されるときに不要不急の外出を避けるようにとのアナウンスが行政からなされたりしましたが、それでも休みとなる学校や会社が少ないことが批判されたりもしていますが、信越線を運休させなかったJR東の判断はどうだったのか、という話。道路も急激な積雪のため渋滞していたそうですが、三条市から長岡まで抜けるのに15時間かかるくらい渋滞してたんですか?してませんよね?雪国をなめるなという意見も多いようですが、なめていたのは誰だったのかという話にもなります。立ち往生してからの対応に慎重さは必要だったにせよ、立ち往生するまでのJR東の対応は、"雪国をなめていた"面が無いとは言えないでしょう。

・無人駅である東光寺駅から300m進んだところで最初の「本格的立ち往生」(東光寺駅に着く前にすでに何度も立ち往生していた)をしたわけですが、「東光寺駅に戻るべきだった」という指摘に対して、「小さな駅舎しかない無人駅に430人も降ろすなんて都会の人はおかしい」みたいな反論も多かったようですが、なぜ駅に戻ったら全員降ろす前提なのかは謎です。実際は「JR東日本の都合」でいったん通り過ぎた踏切を戻りたくなかったことと、そもそもJR東は此の期に及んでまだ運行を続けるつもりだったのが原因で、無人駅に戻してもどうにもならないと考えていたわけではないでしょう。除雪車が到着後、多くの乗客が運行再開を待たずに列車から降りて、除雪された線路を歩いて帰宅(多くは帯織駅に迎えに来た家族らの車で帰宅?)していた光景を多くのニュースで確認できます。その映像を見ると、JR東は脚立や足場を準備しておらず、乗客は高低差のある電車の出入り口から地面まで降りていました。駅ならば、ホームがあるので高低差なく列車から降りることができます。無人駅まで戻るべきだったと主張する「都会人」とて、電車から降ろせとまで主張していたわけではないでしょう。無人駅まで電車を戻し、そのまま乗客は車内にいればいいわけです。雪が強かったそうなので実際は難しかったでしょうけれど、JR職員がそれなりに人数が揃った後なら、彼らの監視のもとでホームに出て体を伸ばしたりも出来たでしょう。また、三条市は幹線道など重要地点を優先に、1月11日の午後9時台には職員や地元建設会社らの「総動員体制」で除雪を始めることを決定していたので(※20)(※21)、「430人が閉じ込められた列車が東光寺駅で立ち往生」しているという状況があれば、「東光寺駅までの道路の除雪」を優先的に行うことも出来たはずで、そうすれば、家族の車でもタクシーでもバスでも入ってこれたわけです。日付が変わる前に救出することも可能だったと考えられます。

・無人の東光寺駅に戻っても無駄という話もありますが、地面との高低差なく乗客を下ろせるので、たまたま今回は少なかった体調不良者の救出には有利だったでしょう。また、東光寺駅につながる道路は、三条市の「除雪計画路線図」において「第1種除雪路線」に定められており、「午前7時まで」に優先的に除雪作業を行われることになっていました(※22)。もちろん、1月11日の積雪状況で計画通りに作業が進んでいなかった可能性はありますが、「駅までの道路」をなぜ「優先的に除雪」することになっていたかを考えれば、JR東が自治体ときちんと連携をとらず、東光寺駅までの除雪が優先的に行われることがないままだったのなら、それは非難されても仕方のないことでしょう。

・「雪国をなめるな」という言葉は、周りに用水路や田んぼがある場所で立ち往生した状況でさらに前へ前へ進もうとして状況を悪化させた対応をしたJR東日本新潟支社に言うべきでしょう。最初の立ち往生地点は東光寺駅から300m、踏切が近い…つまり道路や民家に近い地点でした。しかし、そこからJR東日本新潟支社は列車の乗務員に前進を命じた、もしくは後退を許さなかったわけです。その結果、乗務員の涙ぐましい努力で列車は少しずつ前進し、結果として、東光寺駅と帯織駅の間の「周りに用水路や田んぼがある場所で立ち往生」という事態を招いたわけです。乗務員の努力を列車の乗客らは賞賛していますが、実際のところ、他の立ち往生していた列車の多くは"駅で"運行を停止していたようです。駅に停まっている列車からの救出と、田んぼや用水路に囲まれた地点で立ち往生した列車からの救出、どちらが容易かは明白です。乗務員らの「努力」は、酷な言い方をすれば、「無理して前進して状況を悪化させた」ということでもあります。これを結果論として一蹴する方もいるでしょうけれど、それに対しては、「雪国をなめるな」と反論することも出来るでしょう。

・この一件後、JR東日本が運行を慎重にしたため、雪での運休が増えたと文句を言っている方も多いようです。マスメディアや都会人が騒いだせいだ、という論調。これについては、JR東日本新潟支社に文句を言うべきでしょう。また、雪国の列車の運行のための施策を地元政治家などに要望するなどすべきであり、都会人のせいにするのは筋違いです。それに、実際に運休が増えたかどうかはまだ分かっていないはずです。感覚だけで騒ぐのでは、雪国のことを知らずに今回の事故でのJR東の対応を批判した「都会人」と"同じ"です。

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